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御子神十三柱の再確認 その3

由緒正しい御子神たち

まずは過去の文献に倣って、「延喜式神名帳」及び「三代実録」にその名が記載された諏訪御子神を挙げておこうと思う。ここで挙げられる神々は、いわゆる国史によって、平安時代前期までの段階でその存在を保障される由緒正しい神ということだ。
俗っぽくいえば、格の高い神々である。

ただ、注意しなければならないのは、古代から信仰されていた神だとしても、その時点で諏訪の御子神、もしくは諏訪系列の神と看做されていたかどうかは、まったくの別問題だということだ。
以前から書いている通り、私の考えでは、それぞれの神がもともと諏訪に出自を持つとは限らないので……いや、むしろ、諏訪に出自を持つ神のほうが特例というくらいの話なので……だから、いつの段階で、誰の(どこの)神が、どういった事情によって諏訪御子神に組み込まれたのか? それを知ることこそが究極なのである。
むろん、それを真実として突き止めることはまず不可能なのだが、「蓋然性の高い推論」くらいまでもっていけるのであれば、それはもう望外の喜びといえる。

ところで、今までなんの断りもなく専門用語を使ってきたが、いちおう解説しておくことにしよう。釈迦に説法な方々には申し訳ない。
一般に「延喜式」に記載された神社を「式内社」、延喜式には見られないが「三代実録」等に見られる神を祀っていたと思われる神社を「国史現在(見在)社」、または「式外社」などと呼ぶ。現存する神社へと比定する際に候補が複数見出せる場合、それぞれを「論社」と呼ぶ。

表現がややこしくて申し訳ないのだが、それは、「延喜式」では神社名、「三代実録」では神名しかそれぞれ挙げていないためである。よって、国史が示す神社とその祭神との照応や特定が困難な場合が、多々ある。
また、「延喜式」では郡まではっきり特定されているいっぽうで、「三代実録」では「信濃國」というところまでしか特定できない。なんとももどかしいところである。
「神社ではなく神に階位を与えているのだから、神社を特定する必要はないのではないか」という見方も建前としてできなくもないのだが、複数の國にまたがって多数の神社で祀られている神などいくらでもいるわけで、その点から考えると、この時代、いずれかの場所(神社)がその神の真地、本家と特定されていたと考えざるをえない。國別の但し書きを伴う以上、全国に散らばった分社末社ひっくるめ、抽象的存在としての神それ自体に階位を与えている、という解釈はできないのだ。

そもそも、「分祀」という方法が広く認められ、各地で実行されるようになったのはいつのことなのだろうか。今日の状況を見ても、本家以外で有名神を祀っていて、しかも上古以前まで遡れそうな古社の場合、もともとは名もなき地主神を祀っていた痕跡が残されている例が非常に多い。
たとえば信濃國の式内古社でも、現在、大己貴命や八幡神、住吉神等を祀っている社は数多くある。しかし、それらの神が三代実録「信濃國」の条で階位を受けた記事を見出せるのかといえば、当然、それはないわけだ。
延喜式の神社は神社、三代実録の神は神としてまったく別に理解した上で、また次の段階の作業としてそれぞれの照応を進めなければならない。
というわけで、「延喜式」と「三代実録」を分けた形でリストアップすることにしよう。


【延喜式記載神社】

頤氣神社
 関連御子神:池生神
 論社:長野市内の西寺尾、小島田にそれぞれ同名社
 現在の祭神
  西寺尾:池生神 配祀・建御名方命、事代主命
  小島田:頤氣神
 ひとこと:詳細は過去の踏査報告参照。

武水別神社
 関連御子神:別水彦神
 論社:桶知大神社など(ただし、武水別神社が圧倒的優位)
 現在の祭神:武水別大神 配祀・八幡三神
 ひとこと:神名からの連想で挙げたまでのことで、関連の根拠は薄い。

妻科神社
 論社:(なし)
 関連御子神:妻科比賣命
 現在の祭神:八坂刀賣命 配祀・健御名方命、彦神別命
 コメント:三代実録における神名は「妻科地神」と「妻科神」、2種の表記がある。

守田神社
 関連御子神:守達神
 論社:長野市の七二会と穂保に守田神社、市街地に守田廻神社
 現在の祭神
  七二会:守達神、大碓命、久延毘古命、大物主命、健御名方命ほか2柱
  穂保:大碓命、大己貴命、大山咋命
  守田廻:誉田別命、建御名方命、保食神
 コメント:論社争いが激しかった。守田廻神社本殿は、元・善光寺年神堂。

健御名方富命彦神別神社
 関連御子神:建御名方彦神別命
 論社:長野市城山、飯山市、信州新町にそれぞれ同名社
 現在の祭神
  城山:健御名方富命
  飯山市:健御名方富命 配祀・馬背神ほか六柱(彦神別の御子神たち)
  信州新町:彦神別命、健御名方命、八坂戸賣命、神八井耳命
 ひとこと:同じ延喜式における本家・諏訪神社の表記は「南方刀美神社」である。

高杜神社
 関連御子神:高杜神
 論社:中野市、高山村にそれぞれ同名社
 現在の祭神
  中野市:少那彦名之命 配祀・大國主之命、健御名方之命
  高山村:健御名方命、高毛利神、豊受姫命、武甕槌命、市杵嶋姫命
 ひとこと:中野市の鎮座地は「赤岩」、高山村は隣接する地域が「赤和」と共通する。

子檀嶺神社
 関連御子神:高石姫神、倉稲主神
 論社:青木村、武石村にそれぞれ同名社
 現在の祭神
  青木村:木俣神、健御名方富神
  武石村:健御名方刀美命、倉稻魂命、八坂刀賣命
 ひとこと:御子神の倉稲主神は「くらしなぬし」と読む。それが、超有名神である
  「倉稲魂命/ウカノミタマ」へと誤読・転訛したのではないか、という純粋な憶測。
  ま、諏訪神を祀る倉科神社との縁を考えるほうが筋かもしれないが。
  武石村と高石姫を結びつける説は、「諏訪旧蹟誌」で飯塚久敏が触れている。

須波若御子神社(遠江國式内社)
 関連御子神:須波若彦神
 論社:静岡県磐田市の淡海國玉神社に合祀され、境内摂社として現存。
 現在の祭神:須波若御子神
 ひとこと:諏訪では習焼神社の主祭神で、遠江との縁故を物語る伝承も残っている。


【三代実録記載神】

妻科地神/妻科神
 妻科神社を指すことは間違いないだろうが、イコール妻科比賣と断言しきれないのが辛いところ。

宇達神/安達神
 いずれも守達神の誤記説がある。要は式内・守田神社? だが宇達神社も長野市内に現存するのだ。

池生神
 神名は問題なし。ただし論社の絞込みは、当ブログ直近記事に見るようにかなり困難である。

出速雄命
 論社それぞれ決め手に欠け、これまた絞込みは非常に困難。

馬背神
 従三位にまで達した、御子神孫神中の出世頭。小県の馬背神社東西宮が最有力である。※1

八縣宿禰
 佐久新海三社神社には興波岐の別名とする伝承がある。それ以外の情報は極少。

會津比賣神
 會津比賣神社で確定としてよさそう。同社には、建五百建の妻とする非常に興味深い伝承がある。

草奈井比賣神
 諏訪市北真志野、蓼宮神社の祭神。ほかには小野神社付近の小祠に祀られている程度。※2

蓼科神
 蓼科山信仰が原型であることは確かなのだろう。しかし、立科町の蓼科神社に特定していいかどうかは微妙。

八櫛神
 長野市の八櫛神社くらいしか候補がない。神仏習合の形を遺す、別名「ぶらんど薬師」。

※1 その後、山ノ内町、字「夜間瀬/よませ」に馬脊社を発見。ただし祭神はスサノオ。
※2 筑北村の味酒部神社に比定するのは『東筑摩郡誌』の憶測に基づくであろう誤情報。



……と、以上は前提としてざっとまとめるだけのつもりだったのだが……結果、大仕事になってしまった。

当ブログ独自分類の試みは、想定外の4回目にて!
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