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金刺の城を取り戻せ!(誰から?)

桜ヶ城址(下社大祝金刺氏・中世居城跡)

今回はお気楽に、諏訪大社の周辺をお散歩したときの話です。
実をいうと、方針に悩んでいただけなんで、ネタはけっこう書き溜めてあるんです。今度はそう簡単に途切れません。

春先くらいのことだったと思います。ま、お散歩コースには事欠かない環境でして、フラリと秋宮裏の「桜ヶ城址」まで登ってみました。

桜ヶ城というのは、諏訪神社下社の大祝を代々務めてきた金刺氏が中世に陣取っていたとされる山城です。中世の諏訪氏や金刺氏は、「神主さんだけど武将」という非常に忙しい立場でした。この地における神主さんってのはイコール施政者ですから、そりゃもう忙しい。信仰も政治も戦争も、地域内における全権を握っていたってことです。
んで、室町時代にまで至ると、この両者は血で血を洗うエゲツない闘争に明け暮れていたのです。
神主さんなのにね。

まあ……城とか戦国時代とか私の専門じゃないんですが、ていうむしろ個人的に日本史の中で一番興味の薄いジャンルなんですが、まあ諏訪さんと金刺さん絡みのことなら仕方がないです。少しは興味持ちます。
つーか歴史的興味以前に、秋宮から15分も歩けば(急峻な道のりではありますが)素晴らしい眺望が楽しめる素敵な場所なのでね。

私が子供のころには知る人ぞ知る忘れ去られたスポットでした。
その後、「鎌倉街道ロマンの道」という、とってつけたような遊歩道が町によって整備されました。
でも、観光客はおろか地元民すら訪れることはまれで、やっぱり知る人ぞ知る忘れ去られたスポットのままでした。
ときどき下のほうで犬の散歩を見かけたくらいかなあ。

ところが最近になって、意欲的に整備が進められてきたのです。産業が滅びつつあるこの地にあって、残されたのは観光くらいという自覚が生まれてきたということもあるのでしょう。しかし、自治体主導ではなく、主に近在の方々のボランティアによって事が成されているのは素晴らしいことといえましょう。自然にせよ文物にせよ、地元の人が本気で愛し誇っていなければ絶対に観光なんて成功しませんからね。特に景気復活なんてありえないこのご時勢下ではね。

方向性としては公園化ってことで……まあそれも善し悪しなんですが、道が整備され、花なんか植えられて、眺望も開け、ちょっとした展望台が設けられ、より快適で清々しい場所に生まれ変わりつつあることは確かです。
ある程度林を切り開き、整備されてみて初めてわかったんですが、町のどこから見上げても実によく目立つんですね。やっぱり、お城ってのはそういうところに築かないと意味がない。これには改めて感心させられました。

joyama01.jpg
秋宮門前から桜ヶ城址遠望

おわかりでしょうか。真ん中の小高い丘がそれです。てっぺんじゃなくて、その下の灰色っぽい段々状のあたり。

ちょっと近付いて、秋宮社叢裏あたりから見上げてみます。
……あ、万が一気付いてない人がいると悲しいので念のため書き添えておきますが、サムネールをクリックすると多少大きな画像見られますからね。

joyama02.jpg
「小湯の上」から桜ヶ城址遠望

こんな感じ。
観光用のノボリ旗が立っているのがわかるでしょうか? それはまあ無理かもしれませんが、展望台は確認できるのではないかと思います。
これなら、うん、なんだかちょっと登ってみたいような雰囲気を醸し出してますよね?
ノボリ旗には、「風林火山」とか「由布姫の里」とか書いてあります。NHK大河ドラマ(『風林火山』は一昨年でしたかね?)にあやかって客を呼ぼうという例のやつ。

でも!
あいかわらず観光客なんかぜんぜん見かけません!

どんなにがんばったって、クルマで行けない急坂の上なんて場所では観光は成立しないんです。まあそんな時代は終わりを告げてほしいものですが。

ともあれ。
先日、天気のいい夕方にフラリと登ってみました……という最初の話に戻ります。

そしたら、珍しく人がいましたね。
三十絡みの青年です。
小さな犬を連れてるんで……近所の人が犬の散歩でもしてるんでしょう。
でも、なぜか、ネイビーブレザーにグレーのスラックスでビシッと決めています。

よく、わからない……。

でも、もっとよくわからないのは、彼が激しく暴れていたことです。

ノボリ旗に飛びついて、激しく破く、毟り取る。
膝で竿をへし折って、残骸を崖下に放り投げる。
いきなりそういうシーンに直面したわけです。

joyama05.jpg

joyama04.jpg
「彼の仕事」の痕跡

そらまあ、引きますよ。

無論、たしなめたい気持ちもありましたが、なにしろ相手はアブナイ人。なんの遺恨もないのに血を血で洗うようなことにはなりたくありません。かといって、わざわざ踵を返して引き返すのもなんだか癪に障ります。

とりあえず、黙ってじっと観察してみることにしました。
人が見ていることに気付いたら、彼も止めてくれるんじゃないかと。
(なにしろ、滅多に人に出会わない場所なんで)

そしたら、気付きましたね、彼。
一瞬気にするようなそぶりを見せて遠ざかっていったんですが……でも、その先で、また旗を破き始めたのです。ある種、確信犯的に。
私はちょっと思案して、ゆっくり近づくと、なるべく刺激しないよう工夫して声をかけました。

「どうかしましたか?」

すると彼は、

「こんな! こんなね、ぜんっぜん違うんですよ! ここはね、金刺盛澄って人の城で、武田信玄とか全然関係ないんです!」

……とても怒ってます。

オレに怒られても困るんだけど……まあ……盛澄ってのは鎌倉時代の下社最盛期の有名人でね、その人一代の城ってわけじゃないし……むしろ戦国時代に入って、諏訪氏に滅ぼされたときの最後の金刺宗家大祝、昌春が逃げ出した城という印象のほうが強いんですけど……まあいいや。

このとき私は「裏」から登っていったんで、それで彼も虚を衝かれたのかもしれません。

「そんなほうから登ってきたってなんにもわかんないんですよ! こっち側から登ってくればいろいろわかりますから。勉強してください!」

そっすか。
いや、ま……オレのほうが全然詳しいと思うけどね(笑)。

しかし、そうかあ。

「そういう怒りなら、まあ、わからんでもないかなあ……」

半笑いでそういってやると、「とにかく! こんなとこに風林火山なんて……」彼はプンプンしながら山を降りていきました。
犬を連れて。

うーん。

まあ、ね。
「そんなに金刺好きか!」って感じで。
奈良時代~鎌倉時代初期の金刺氏は知略に長けた名族で尊敬に値しますが、戦国武将としての金刺氏は……ちょっとねえ、姑息で情けないというか。
まあそれは関係ないです。
彼のいってることは基本的に正しくて、金刺氏を滅ぼしたのは諏訪氏、その諏訪氏宗家を滅ぼしたのが武田氏なんで、確かに直接的には関係ないんですよ。この城址に「風林火山」のノボリ旗を掲げるってのは、だから、一種冒涜的な感じを受けなくもない。確かに。

もちろん、彼のしたことは犯罪です。大した犯罪ではないですが、やっぱり犯罪です。
でもね。
愛ゆえに怒った彼の筋というものは認めてあげたいですね。
なんの勉強もせず、ルーチン仕事でなんも考えずにノボリ旗を立てたお役人さんたちには、彼を罰する資格なんてありません。
むしろ土下座して泣きながら謝ってもらいたい。

ほんと……集客と金儲けしか考えてない観光産業は、早晩滅びますよ。
行政がそのへんを理解する日は、果たしてやってくるのでしょうか。

まだ街中に立ってますよ、ヘンなノボリ。

「みのもんたの朝ズバッ!で紹介! 万治の石仏」

マジでね、彼でなくても破きたくなりますから。

joyama03.jpg
桜ヶ城址から秋宮社叢を見下ろす
諏訪湖対岸、小高いところが守屋山、右手前の小さな森は青塚古墳。
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No title

小松左京のSFのはじまり部分みたいな、エピソードですな!
その場合はもちろん、おかしい人は、美女でなければいけませんが。

「地球の人は、地球の歴史を知らなすぎるわ・・・」
とか、つぶやきながら、世界遺産的なものに文句をつけている、みたいな。

なるほど…

彼は、絶えたはずの金刺の末裔だったのかもしれませんね。
そうすっと、SFというより伝奇小説のネタだなあ。

……あ、そうそう!
この城で金刺が落ちたとき、嫡子(当主の息子)がなんとか逃れて、しばらくの間、武田の保護下にあったらしいんです。その後結局どっかの合戦で戦死して絶えたというのが歴史の通説なんですが、あの金丸信を排出した金丸家が、甲斐金刺の末裔だという説もあるんだそうです。
あと、彼の地には「今諏訪」という地名に、諏訪神社のミニチュアフルセットみたいな面白い神社が現存してます。

まあ……金丸の怨念だかどうだか知りませんが、諏訪にリニア通すのだけは勘弁してほしいなあ。

No title

古い記事にいきなりコメントすみません(^^;)

下諏訪の生まれで下社の氏子だったことも手伝って諏訪大社の事を色々勉強しているのですが、元々曽祖父の出が今諏訪で、氏が金丸という縁もあり(大物政治家とはマキが違うそうな・・・)金刺と今諏訪神社の説には少なからぬ縁を感じています。

まだまだひよっこですがいつの日か自分のご先祖が諏訪大社に縁があったらなんてロマンを感じながら勉強を続けたいと思います。


ちなみに旗破いてたのは僕じゃありません(笑)

おお・・・

お返事遅れてごめんなさい。
料金滞納でネットが数日止まってました(笑)。

コメントありがとうございます。ブログはあんまりお気楽じゃないですが、こうして気軽にコメントしていただけると大変うれしいです。

今諏訪の末裔の方ですか・・・それは貴重な。
ぜひとも地元視点からの研究を進められてください。
つくづく思うんですが、それぞれ違うベースから、関係する土地を勉強し、それぞれの情報を交換し合うことほど有効な研究はないんです。
だいたいは地元本位になってしまい、関係対象地域への興味と勉強がおざなりになってしまうんですよね。
いつの日か、互いにベースの地を案内し合うくらいのことをしてみたいものです。

しかし、わざわざ遠くから桜ケ城跡までやってきてノボリ破ってたらものすごいですね。しかも犬連れて(笑)。
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基本的に怠惰で、社会人として問題の多い中年男です。
でも、興味の対象には嬉々として食いつきます。

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