スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

そこにあるはずのない白鳳仏 その2

照光寺の私資料を読む

「照光寺誌」は、本当に素晴らしい本です。現代において、これだけの私的寺伝書はそうそう見当たらないのではないでしょうか。

まったく私的な話ですが、私がとりわけ感動したのは、通称「下社神宮寺起立書」の全文が付録的に収められていることでした。もちろん、前回書いたように、照光寺の根拠に関わる重要な古文書なので収録すべき必然性はたっぷりなのですが、それにしても、名ばかり見知っていても専門的な古文書参照など及びもつかない私のような素人には、たまらない資料でした。これがあれば下社神宮寺の旧態をかなり細かく再現できる! ……ってのはまあ、完全に個人的な趣味の世界なんですけどね。

ともあれ、寺務長さんは、本来それを参考資料として見せてくださっただけだと思うのですが、私のあまりにも前のめりなハァハァっぷりに免じてか、「この本はもう在庫あんまりないんですが……差し上げましょう!」と、太っ腹なところを見せてくれたのでした。

もう! ホントに! 感謝にたえません!
どんなにうれしかったことか!
だって非売品ですからね。今から欲しいといったって、正規に入手する手段はないんですから。

というわけで、本題に戻ります……。

照光寺薬師堂秘仏本尊、薬師如来。
さて、これはいったいどういった像なのか?

先述の通り、「照光寺誌」には、「像高33センチ、木造」とあります。
「木造」のすさまじい衝撃にすっかり私は幻惑されていたのですが……あれ?
サイズが書いてある……よ。

当ブログ「絶対秘仏萌え!その2」において、私は「秘仏はその絶対度が気になるところ」と書いたわけですが、現代の書物にサイズが書いてあるということは、「絶対度」はそんなに高くないのかもしれません。
ま、前回書いた通り、「長老だけが見ている」ということは確認できていますから、この記述も長老の実見に基づくものなのでしょうか。

とりあえず、続きを読んでみることにします。
ここは、「照光寺誌」中の「仏体」という章で、寺蔵の仏像リストになっているのですが……とにかく、この薬師仏の項を引用してみましょう。

薬師如来・木彫坐像 高さ三十三・三センチ
薬師堂本尊、厨子入り秘仏。制作年代不詳なるとも、仏体上半身に焼跡が認められるので、明和天明の大火以前、おそらく憲阿法印の延享元年の作か。


……あ、あれ?
延享元年というのは……1744年、江戸中期ですね……。
今度は千年飛び越えてしまいました。
うーむ……そうなるともう、まったくもってごくごく普通の話ですな……。

それでまあ、仕方なく他の照光寺私資料を当たってみるとですね……あ、ありました!

現住職・宥洪師の普山記念として発行された、これもまた非売品の写真集の序文的な「沿革」に、

また、当寺に伝わる薬師如来(旧本尊)は今から1300年以上前の白鳳3年(西暦675)銘のものであることが最近明らかになった。

と、あります。

う、うーん……?

そこで、両資料を再度しっかり確認するとですね、ともに非売品の私文書ながらも立派に通例に則った奥付がありまして、それによれば、「照光寺誌」は1985年8月、後者の写真集「瑠璃の光」は1995年11月の発行となっていました。

つまり……疑いの余地なく、「白鳳3年銘」の根拠は、「85年以降95年まで、10年の間に、宥勝師が実見した結果である」と断定できるわけです。

加えて言えば、85年以前にも、宥勝師、もしくはその先代か先々代かわかりませんが、まあセンチと書いてある以上それ以前は闇の中であって、とにかくその御三方もしくはその全員が実見し、そのうちのどなたかが実測している、ということになるわけですね。

もう、この時点で、秘仏マニアな私は猛烈に震えてしまいます。

あーと、これはね、マニアックで些細なこととみなさんは思われるかもしれませんが、

「絶対秘仏」と、(密教的な)「非公開仏」は、別物だ

とも思うのですよ。
たとえば、以前話題に出したことのある深大寺の深沙大将像とか、世間的には絶対秘仏だとされていますが、出版されている前住職の日記に、彼が若き日、当時の師匠に導かれて1回だけ拝観したことがある旨、記されています。
いっぽうで、絶対秘仏として高名な善光寺、東大寺二月堂、浅草寺、また、三井寺の本尊は、おそらく、現在の最高責任者も、先代も、先々代も、実見していないはずです。

と、それはそれとして……それにしても、です。
ここで私が感じている興奮がどれだけの人に伝わるのか……はなはだ心もとないのですが、隠された歴史の秘奥を抱いた(絶対?)秘仏がですね、もう少しで手の届きそうなところにある。という実感。
これはもう、とてつもなくエキサイティングなわけですよ。
「エキサイティング」とかいってると、本当にもう、信仰の側から見れば失礼極まりないことだとは思うんですけど……でも。はい。正直な実感として。

私の興味の核心を理解してくださった寺務長さんは、「そうなると……私の一存ではお答えできませんね。ちょっとお待ちください」と、席を外したのでした。

なにぶん、宥勝師は御高齢ですので……。

ほぼ30分後に、寺務長さんは戻っていらっしゃいました。

つづく。

……ていうか、あの、まだまだこの話は終わりません! 終わらないというのはつまり、今日明日には解明しきれないんですが……でも、次回で一段落はつけますからね!
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

LooseFrog

Author:LooseFrog
基本的に怠惰で、社会人として問題の多い中年男です。
でも、興味の対象には嬉々として食いつきます。

loosefrog★gmail.com
(@に置き換え願います)

デタラメやカン違いや不適当な素材の使用等ありましたら、ご指摘ください。
もちろん、助言や感想も歓迎いたします。

***

字が小さいとの御指摘をちょくちょくいただきます。
P盲な私がいまさら細かいところいじるとワヤになりそうなので、ブラウザの拡大機能の使用を推奨いたします。

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

検索フォーム
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
リンク
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。